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『キミはね。最期まで見届けるんだ。世界の崩壊をね』
その時、僕の世界は崩れ落ちた。
そこには、孤児院にいた身寄りのない、どこの誰だかわからない僕を優しく迎い入れてくれた親の無残な姿、そして……
『……マリア』
『あぁ、この娘って言うんだ。随時可愛らしい名前だね。とても似合っているよ』
誰だかわからない。全く知らない少年の足元にマリアは横たわっていた。
真っ赤な血を流しながら。
『この娘凄いんだよ、自分がどうなるかわかってるのに命乞いをせずにキミだけは殺さないでって言ってたんだ。だからね、ボクはキミを殺さないよ。それにキミはこの世界の始まりと終わりを見てもらわないとね……』
そう言って少年は消えた。憎たらしい、一生忘れることのできない笑みを浮かべ、大切なものを全て奪って……
「……イ、レイ!! 起きなさい!!」
「あ、レン……」
「『レン……』じゃないわよ!!」
「大丈夫ですか? うなされてましたけど……」
「大丈夫だよアカネ。アカネはいい子だねぇ……誰かと違って」
「なっ!!」
もしかしたら、忘れた方が幸せかもしれない。
……でも絶対に忘れないさ。
お前の顔も声も姿も……僕は絶対に許さない。
どんなに手を汚しても、自らを犠牲にしてでも。
僕は必ずお前を……
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