プロローグ

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夏。 暑い。 暑さが俺を襲う。 部屋に戻れば生き返ることができると思った俺がアホだった。 クーラーという俺を蘇生させる機械は昨日の晩に俺の不注意により壊れていたのだ。 昨晩、ヤツは俺の振り下ろした竹の刀と呼ばれるモノにより文字通り真っ二つになった。 おかげで今こうして窓を全開にして夏の風を部屋の中に入れているのだが、それほど部屋は涼しくはならない。 反省はしている。 だが、仕方なかったのだ。 竹刀さえ振れないほどに狭いこの部屋がおかしい。 反省はしていても狭い部屋を呪う。 しかし、アレだ。 親に部屋のせいで壊れたと言ったところで逆に怒りを促進させるだけなので部屋のせいとは言わなかった。 そう、正直に話したら罪は軽くなる……ハズだろ? だが、正直に話した俺に待ち受けていたのは今月のおこづかいなし。 高校生としてかなりの痛手を負ったわけだ。 暑さを紛らわすためにテレビゲームを始める。 「よっしゃー! ナイス、ロベカル!」 つい声を上げてしまう。どうもだめである。サッカーゲームを始めて自分がゴールを決めるとどうしても叫んでしまうのだ。 そんな珍しく部活も休みだった日曜日のこと。
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