君と薔薇のヴァイオリンソナタ

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  風が吹いた。 バイオリンを弾く手を止め、 振り向くと 1人の女の子。 あぁ、薔薇が満開じゃないか… ───夢、か。 いててっ。 変な格好で寝てたかな。 夢…あれ?どんな夢だっけ。 なんだろ思い出せない。 ただ、懐かしい、すごく。 「ってて。おわぁっ!」 寝た状態で首だけ右を向くと、 すごく近くにそいつの顔が あって驚いた。 綺麗な寝顔… 小さく寝息を立ててる。 俺は複雑な想いで しばしその顔を見ていた。 俺のバイオリンもあいつのヴィオラも、律儀にケースにしまってあった。 うたた寝にしては 準備がいいじゃないか。 真冬だけど風邪なんか ひかないだろうか。 …と。 「あれ?」 ここで矛盾に気付く。  
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