君と薔薇のヴァイオリンソナタ

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  振り向きざまに訊ねる彼女。 「名前はなんていうの?」 名前言ったらバレないかな。 「柊木奏太」 「かなたくんね。私は さく」 さく…… 変な名前。 「明日もいるから! じゃあばいばーい!」 つい手を振り返してしまった。 いや…明日も俺が来るって 思ってんのか? でもバレなかったな。 バレるって言い方も変か。 別に良いんだけどさ。 さく…変な奴。 いつの間にか馴れ合ってても 何の違和感もなかった。 どうしてだろう。 だけどもう会うことも無い。 会う必要も無い、理由もない。 ここにもたぶんもう来ない。 むしろここはどこだ? どうやって帰ればいいんだろ。 手元の携帯が震えた。  
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