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あー、俺は一体
何してるんだろうね…?
♪───────
自問自答になるが、
またあいつの下っ手なヴィオラを聴きに来てる俺がいる。
なぜかはわからない。
ただ家にいられなくて、
本能的に足がこの公園に向いたんだ。
むしろほぼ100%野性的勘で
ここまでたどり着けた自分に
驚き半ば呆れてもいる。
呆れるくらい惹かれた。
この音に。
♪──────
今日はG線上のアリアだ。
俺は肩にバイオリンケースを
引っかけただけの軽装で、
薔薇園の小道を通って、
最後のピンクの薔薇を
くぐり抜けた。
やはり綺麗だった。
さくがヴィオラを弾く姿は、
幻想のように綺麗で、
それゆえに今にも
消えてしまいそうなくらい
儚く映った。
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