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「しっかしなんで無理してヴィオラでバイオリン曲ばっか弾こうとするんだ?」
今日のアリアはまだヴィオラ向きの曲とも思えるが、
さくの楽譜のファイルを見るとバイオリンの無伴奏曲の楽譜ばかりだ。
しかも誰でも知ってるようなメジャーどころの曲ばかり。
「だってヴィオラのソロ曲ってなかなか無いんだもん。
それに、知ってる曲の方が楽しいでしょ?」
「…ふははっ」
思わず笑ってしまった。
単純だ。
音楽に対して、思考が薄い。
俺には絶対できない芸当だ。
「まぁいい。
じゃあ今日のアリア、とりあえず最初から弾いてみろ」
「はーい」
俺は芝生にどっかりと
あぐらをかいて肘をつき、
耳に神経を集中させた。
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