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俺の気迫に多少圧倒されたらしいさくは、戸惑いつつ小首をかしげる。
「そうねー…それって大変?」
「お前のやる気次第だ」
さくはあごに手を当てて少し
考えた後、顔を上げて言った。
「でも、上手くなると、楽しいよね。もっといろんな難しい曲も弾けるようになるよね」
「そう…だな」
「じゃあ、頑張ってみる」
よし、決まりだ。
「明日から俺がみっちり教えてやる。サボんな。逆らうな。気を抜くな」
「なっなんでそんなに
上から目線なのっ」
「教えてやるのは俺だ。
後悔はさせねぇ!」
磨けば無限に輝く
宝石を手に入れた。
俺は、自分が今置かれている
状況も境遇も忘れて、ただ手放しで喜んだ。
初めて欲しい未来を見つけた。
夢中だった。
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