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腕時計を見ると、まだ11時を過ぎたくらいだった。
「午前中って何時までここにいられるんだ?」
「ん、12時には出ないと」
「じゃあ今から少し練習できるな。まずは弓の持ち方と姿勢を叩き直してからロングトーンの練習だ」
「え~」
「返事!」
「はぁい…」
♪───────
俺がこんな約束をしたのは、
きっとこの音を毎日
聴いていたかったから
なのかもしれない。
もっと良くなる音を
聴いていたい。
もっと上手くなったら、
俺を狂わすくらいに
魅了するかもしれない。
そんな気がする。
♪──── くしゅんっ
「…なんださっきから」
またくしゃみでさくの演奏が止まった。
「うーん…風邪かなぁ?
そういえば昨日からちょっと
寒気がするような…」
「おい、デコ出せ」
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