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「今日はもう学校休んで家帰れな。歩けるか?家どこだ?」
言ってるそばからさくは
腰が抜けたみたいに芝生に
へたりこんでしまった。
「はぅあ…学校…行かなきゃ」
「おい無理だそんな状態で。
なんでずっと黙ってた」
「っていうか…こんな状態…
かなたくんのせいで…」
「あ!?わ…悪い…」
そうだな、俺が一人で勝手にはしゃいで、体調悪いのに気づかなくて無理させちまったんだ。
今日だってこんなに寒いのに。
「…いえっあの…違くって」
「何が違うんだ」
さくはボーっとして
頭が回ってないようだ。
とにかく俺は楽器を片付けて、
右肩にヴィオラケースを
左肩にバイオリンケースと
さくのスクールバッグを担いで
さくにコートを引っかけ、
さくの前に背を向けて
しゃがんだ。
「乗れ」
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