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「ほえぇえぇぅえ…!?」
さくがまた素っ頓狂な
悲鳴を上げた。
こんな状態なんだから
放っておくわけにはいかないだろう。
楽器は命の次に大事な
ものだから置いていくわけにもいかないので、
必然的に大荷物になるが、
俺も一応男だ。
「おぶってってやるから乗れ。どっかでタクシー捕まえるからそれまで我慢しろな」
「…~っ」
完全に目を回してる。
おい!と急かすと、さくは
ようやくのろのろと動き出して
俺の背中にしがみついた。
「わ私っ重いよ…?」
「よいしょっ…と」
正直、軽い。
それに、熱があるせいで
背中がすごく温かい。
嫌な気分じゃなかった。
そのまま公園を出て、
駅の方向にしばらく歩くと
運良くタクシーを拾えた。
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