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朝はやはり寒い。
1月なので当然だし、
今日は少し風もある。
乾いた空気に白い息をもらす。
この秘密基地は基本的に
昼近くにならないとあまり
陽が当たらないのだろう。
だけど薔薇はまだ朝露に濡れて
わずかな日光を反射して、光っていた。
俺は芝生にドサッと寝転がり、
バイオリンケースの上に
頭を乗せて空を見上げる。
白と水色の中間のような
中途半端な空。
さくは来ていない。
このまま今日は
来ないのだろうか?
この寒い中あれだけの高熱で
来る馬鹿はいないか。
だけど万が一来てしまって、
その時俺がいなかったら
あんまり不憫だ…
などと考えてわざわざ今日も
ここに足を運ぶ当たり、
俺は相当なお人好しなの
かもしれない。
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