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♪────────
「はぁ…」
本当に、呆れるくらいおかしな奴。
いや、溜め息が出るくらい
魅力的な音。
たかが音階練習だったり
たかが移弦練習だったり
単調な作業なのに何故こんなに
捕らわれてしまうのだろう。
さくは、簡単な基礎練は
滅茶苦茶な状態からスタートしたにもかかわらず、
次から次へと驚く程ホイホイ
マスターしていった。
小一時間もすると、
俺が今日用意した基礎練メニューは終わってしまった。
教え甲斐があるが、
こいつに秘められた才能が
恐ろしくも感じる。
「そろそろ曲の練習に移ろう」
「本当!?やったぁ!」
俺は用意してきた短い
練習曲の楽譜を取り出して、
さくに手渡した。
「簡単だからお前のレベルなら
初見で弾けるから」
「……」
「…どうした?」
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