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「……悪い」
顔色の悪くなった茉琴を見て、憂禅は素直に頭を下げる。まだ頭痛や倦怠感はあるが、じきに良くなるだろう。『シグルズ』や『グラム』は、基本的に治癒能力が高い。
茉琴は苦笑し憂禅の頭をなで、立ち上がった。少しよろけているのを見て、憂禅の内に罪悪感がわきおこる。
憂禅も立ち上がり、空を見た。だいぶ陽が傾いている。あの荒野はかなり遠いところにあったらしい。
安全だと判断できる場所まで運んでくれたのだろう。
「そういや、ユウ。言わなアカン事があるんよ」
茉琴がわずかに声の高さを落として憂禅に語りかける。気まずげなその様子に、憂禅は茉琴の顔を見上げた。
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