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「お譲ちゃんが、逃げ出してしもうた」
「……、は?」
憂禅はしばらくその言葉の意味がわからず硬直した後、びしりと特大の青筋を米神に浮かべた。
「あの、女……っ」
コッペリアは自分がどれだけ危険な存在なのか理解していない。
自分が知ったのは後だが、彼女は前世では人形だったそうではないか。それは、この国においてはありえない。『生物』しか、この国には転生できないのだ。
だから、彼女がこの国に転生したということは――。
「あいつはほぼ間違いなく『潜在者』だ。拉致られたりでもしたら……!」
憂禅は拳を握りしめる。自分たちの監視が甘かったせいだ。
「――行くぞ」
憂禅は歩き出す。目的地は、あの式を見た瞬間から決まっていた。
四柱の情報を知っていて、なおかつ式を使うことのできる人間。そんな人物は、一人しかいない。
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