three

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「あぁ、じゃあな」 すっごい惜しいことした気分。金儲けできたのにー。 やっぱ携帯は携帯すべきなんだろうか。 馬鹿…俺の馬鹿。 「もったいねぇー…」 「なにがもったいないって?」 「………」 あら? どうして副会長様が俺の真横にいるの? 「瞬間移動っ!?」 思わず後退した。 ずさっと距離を取り、ファインティングポーズをとる俺の目の前にいるのはつい先ほどまでベンチに座っていたはずの副会長だ。レベル1なのにラスボスが出てきた気分。 副会長がどんだけ強いのかは知らないけど。 「瞬間移動?ちげぇよ。お前が俺の目の前に勝手に現れたんだ」 勝てる気がしねぇーーっ!! 恐い!!恐いよこの人!! さっきまで愛しそうに電話してた人と本当に同一人物なの!? 「いやいや、俺移動してませんて」 「じゃ神様のいたずらじゃね?」 神様なんか信じてないくせに!!!いけしゃあしゃあとこの人は何を言ってるの!? むしろ自分が神だと思ってるだろ!!あぁそうだ!!そうにちがいない!! 「で?立ち聞きなんていい趣味だな?矢崎寛人…もとい神楽坂ハルトくん?」 「…………」 勝てないな、これは。 本当に、そう思った。 なーんでこの人が俺のこと知ってんのー。 しかもバレてるし。 確かにどちらの姿でも会ったことあるけど、バレてるし。いつバレたんだ。一目でか。そんな子供騙しの変装なんか俺に通じるわけねぇだろってか。 「立ち聞き?なんのことっすか」 「ごまかすか?」 「ただ勝手に耳に入ってきただけですよ」 「そうくるか」 「そうきました」 おとなしく授業に戻ればよかったものを…学習しろよ、俺。この学園でサボってなにかいいことあったか。むしろ悪いことだらけだろ。 数分前の俺をぶん殴りたい。そして無理矢理にでも教室に連れていきたい。いや、ここ以外だったらどこでもいいから連れ去ってやりたい。 そしたらこうやって副会長とふたりきり(いろんな意味で)ドキドキシチュエーションなーんてことはなかっただろうに。 「運が悪いなぁ…」 「運が悪いついでに俺とサボるか。いろいろ聞きたいこともあったし」 そう言って、俺は大魔王に連れ去られたのだ。 ゲームオーバー。 コンティニューしますか? しねぇよ。 これ以上はこりごりだ。 だが大魔王は俺を逃がすなんてことはないらしい。 「…………」 とりあえずわずかな抵抗とばかり、前を向いている副会長に舌を出したのは俺だけの秘密だ。
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