four

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親近感を覚えて、彼の気持ちを見破ったりなんかしなければ。 いくら俺が同じ学園に通う後輩だったとしても、いくら可愛がっている大介のルームメイトだったとしても。 彼は手加減なんかしなかった。 「手加減いりませんよ?」 「手加減なんかしてない」 「あぁ、やりにくい?」 「めちゃくちゃな」 正直な人だ。 寡黙でもクールでも、表情が乏しくても、嘘は言わない。いつだって正直な人。 そんなカナタ先輩を慕っていたのは紛れもない俺で。 「お互い様ですよ」 「っ、また…!!」 踏み出し、懐には入らずその足を軸に回し蹴り。 しかしそれもまたガードされてしまう。 反撃とばかりにカウンターで長い腕が伸びてきたが、すぐに間合いを取ったおかげでその腕が俺に届くことはなかった。 聞こえた舌打ち。 眼前まで伸びてきていた手。 拳ではなく、掌。 「…なに、しようとしたんですか」 「拘束」 「それはそれは」 危なかった…。 っていうか、この人闘う気ゼロじゃん。躊躇うどころか勝負を投げ出している。拘束してどうするつもりだったんだか。 「そのまま連れて帰る」 「…心の声には返事しなくていいです」 「麒麟に響が勝ったらお前をコッチに引き込む」 「できますかねー?っていうかアキがそれ許しますかね」 「麒麟は解散。あいつは関係なくなる」 「それもそうですねー。でも…そういうわけにもいかないんです」 とりあえず、早めにカナタ先輩を気絶させるか戦闘不能状態にしなければ。 聞けばアキは会長に勝ったことないらしいし。他の幹部も、それなりに強いは強いけど大介ちゃんや新垣先輩に勝てるとは思えない。鈴先輩も、あの可愛い子大好きナルシストならば余裕で勝ってしまうだろう。 アキの作戦通り、みんな俺の登場でうまく動揺してくれてたらいいんだけど。 「じゃ、こっからは本気で」 カナタ先輩が本気を出さないのならこちらとしては好都合。俺相手に手加減してくれるのならばなおさら。 距離を詰める。 あの時のように、魅せる必要はない。あの闘い方は嫌いじゃないけど、無駄に体力消費するし、無意識に神楽を思い出してしまうから今の状況に適切ではない。 「本当、ごめんなさい」 カナタ先輩のこと好きだけど、あんたなら分かるでしょ? 誰よりも何よりも、大切にしたい人を想う気持ちは――…。
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