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「なんだこの量は…」
「俺も困ってるの」
昨日ポケットに入れたままにしていた大量のチケットもとい戦利品。ごっそりその手にわしづかみし、掌を広げて見せると、げんなりとした表情プラス驚いた顔で返された。
俺もね、びっくり。
ソファ5つもいらないし。
「親衛隊にこれとかこれ、売れないかなぁ」
指差したのは生徒会メンバーの誰かと二人きりで茶会とかわけわかんないヤツ。俺にとっては何の価値ないものでも、あいつらからすれば喉から手が伸びるほど欲しい代物なんだろうということはさすがの俺にも分かった。
とりあえずソファとベッド。ちなみにどちらもオーダーメイドもん。それといくつかの使えそうな電化製品数枚をキープしてもそれはすごい数で。
見つかりにくい場所に隠したわりには俺にとってはそれもおちゃのこさいさい。
どれかいる?と大介に尋ねてみても首を横に振られたんじゃあ捨てる売るのうちの選択しかないわけ。
「オークションでも出すかなぁ…」
「…先輩がこえぇよ」
「それなんだよねー」
売るのにさして問題はない。今日もいくつかの呼び出しをくらうことは目に見えているからその時に売ればいい。
ただ、それがバレた時。一体俺はどうなるか。
「誰も副会長を指名しないことを祈るかな」
あの中で怖いのあの人だけだし。正直他はどうでもいい。あの名前も知らない彼は、心底親衛隊を嫌っていたが指名されたとしても俺の知ったこっちゃない。だいたいこんな景品を作る生徒会側に問題があるんだろう。
よし決めた。売ろう。
「知らねぇぞ…」
「俺だって知らねぇよ。使う人次第かな」
あちらさんが不機嫌になってしまうかどうかは。
だがもうひとつ問題が。
「生徒会に行きたくない…」
景品を交換するには顧問か生徒会に直接これを渡す必要がある。とりあえず生徒会は却下。とすれば顧問に渡すしかないのだが…。
「大介ちゃん、生徒会顧問を知っているかい?」
「お前の担任」
「あ、ならいいや。さっちゃんに渡そー」
「ただあの面倒くさがりの顧問が受けとるかが問題だがな」
「…………」
さっちゃーん。
あんた生徒に馬鹿にされたよー。ていうかそんなことを言われるくらい面倒くさがりなのー?
受け取ってくんないと俺が困るー。
「大介ちゃん、俺はちょっくらさっちゃんとこ行ってくるよ。だから食堂はひとりでよろしく」
善は急げ。
まだこの時間なら生徒も少ないだろうし、会ってもなんら問題はないだろう。
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