それは恋の始まり?

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 私は今、ご飯を食べている。固形タイプのアレだ。今回のは『ささみ風味』だそうだ。いや、意外と美味しいかったのだが、彼女の小言を聞くところによると人には味がしないそうだ。確かに塩気がない気もするが、今の私は味を感じている。そんなご飯を食べている時間は、時計の針が9時22分を回った頃だ。あと彼女は、10分ほど前に『そろそろ、駐車場へ行って他の猫たちに餌を与えないといけないんです』と言って家を出ていった。昨日は私もそこに混ざって貰っていたな。  彼女は、出掛ける時に私に大人しくしているように言ったので、私は大人しく留守番をしている。しかし、会って間もない私に、しかも猫に留守番を任すとは彼女も変わっている。私でなかったらどうしていたのだろうか? 同じように留守番? 今の私が言えることでは無いが、それは些か無用心ではないかと思う。ならば、一緒に連れて行った? うむ、それが妥当なのかもしれないが、彼女は私にそれをしなかった。理由は知らない。それらしいことは言っていたが、何故そう思ったのか疑問に思う。彼女はこう言ったのだ。 「私は、駐車場に行って毎朝やってる猫さんたちに、ご飯をあげないといけないのです。だから、クロスなら大丈夫でしょうけど大人しくしてて下さいね」  大丈夫とは何を確証にして言っていたのだろうか。短い付き合いでは、彼女の猫に対する執着心と『愛』は理解したのだが、考えはまるで分からない。逆に分かったら凄いと思う。私は嫌だがな。  食べ終わったが、この器はどうすれば良いのだ? 片付けるか? いや、無理そうだ。  持って片付けるのは無理なので、台所の近くまで器を頭で押しながら進むことにした。これなら、私では流し台に乗せることは無理でも、彼女には片付け易いだろう。  運び終わったが、することがない。仕方がないので、ちょっと部屋を探索するかな。勿論、彼女の部屋を以外だが。
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