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反応の返ってこない白猫に何度も話し掛けていて、私を降ろす気配の無い彼女。そろそろ降ろしてもらいたい。私にこれ以上恥を晒せと? それはやめて!
などとと思っていたら、やっと降ろされた。私の頭を撫でながら『ごめんなさい』と言ってくる辺り、どうやら話掛けるのに夢中で私のことをすっかり忘れていたようだ。夢中になるのは良いことだ。時と場合によるがな。今回は、私にとっては夢中になって欲しくなかった場合だ。
さて、相も変わらず無反応さ驀進中の白猫様だが、彼女と私のやりとりを見てもやっぱり無反応だった。本当に生きているのか疑問になるほど、微動だにしてくれない。まぁ、尻尾を振ったりしてる時点で生きてはいるようだが、先程のは『それくらい反応がない』という例えだ。
暫し、白猫を見ていると急に立ち上がって、住宅街の方へ歩いていった。疑問も含めて彼女を見上げると、白猫の後ろ姿に向かって手を振っていた。
「あの子は、いつもこの時間になると帰っていくんですよ」
私の視線に気付いたのか、彼女はそう答えてくれた。そこで、私は公園にあった時計を見る。13時23分か。昼にはちょっと遅いよな。
「あ。あの時計ずっと前から止まってますよ」
止まってたの!? 通りで体内時計と合わないわけだ。今の私の腹時計は15時ちょっと過ぎといったところか。確認しようがないので真偽は分からないが、大体そんな時間帯だろう。
「さて、あの子にも会えたことですし、帰っておやつでも食べましょう!」
彼女はそう言うと、私を抱き上げ自転車のカゴに入れ、ペダルを漕ぎ始めた。
おやつって何だろう? 一応、言っておくが意味ではなく中身の話だ。
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