始まりはその日から

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 お腹が空いてきた。何かないか探すために、台所へ行ってみるか。四つん這いで歩くようで変な感じだ。   台所に着いた。まさか、人間だった頃は、開けるのになんとも無かった引き戸が、猫だとあんなに大変だったとは、おかげで息が切れてしまった。  さて、何かないかな。たしか冷蔵庫に昨日買ってきた夕飯の残りが入っていたような。それでも食べるか。この冷蔵庫は下から野菜室、冷蔵庫、冷凍庫という順になっているから冷蔵庫だけを開ければ良いわけだな。  ……!? な、なんて事だ。れ、冷蔵庫が開けれんではないか!? 周りには踏み台になりそうな物はない。と、いうことは昨日の残り物が食べれないということか!? なんたる事だ。  猫好きの神様よ。あなたを恨みます。せめて、冷蔵庫ぐらい開けといて欲しかったー!   そう叫びたかったが、どうにか心の中で叫ぶだけに留めることが出来た。例え口に出してもどのみち『にゃー』しか言えない。  台所には、冷蔵庫以外に食べ物は置いてない。仕方ないので、朝飯は抜きということだ。肩をがっくり落とす気持ちだ。  出来るだけエネルギーを消費しないように、部屋に閉じ籠もってみた。やることがないのでテレビでも見るか。リモコンどこだっけ? 程なくして、リモコンを発見した私は、また頭を抱えたくなった。それは、リモコンがタンスの上に置いてあったからだ。背伸びしても届かない! なのでジャンプしてみた。  軽くジャンプするつもりが、タンスの上に乗ってしまった。恐るべし猫。これは予想外だ。  なにはともあれ無事リモコンまで辿り着いた。さて、少し遠い気もするがテレビでも見るか。  私は、リモコンのボタンを押してテレビのスイッチを入れる。
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