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「…ドアの前で聞いてる朔君、梭樛君…そして壁に背を預けて腕を組んでいる恍輝君、風月さん…コソコソ聞いてないで入ってくれば良いじゃないですか」 琴音がそう言いながら静かにドアに近付いて、勢いよく開けると、朔と梭樛がドテッと派手に転げた。 風月と恍輝は『よく、私達の体勢に気付きましたね』と言いながら、朔達を踏み付けながら入ってくる。 『うむ…気配がわかったのはともかく何故体勢までわかった?』 恍輝も不思議そうに琴音に尋ねる。 琴音は笑顔で「簡単です。」と言った後にこう続けた。 「風月さんは紳士的な方ですから、わざわざ聞き耳を立てない…なら『いい加減にしなさい』と言っても聞かない朔君と、梭樛君の態度に呆れて…なら体勢を考えるのは簡単です。 恍輝君も基本的には無関心の様ですから梭樛君が暴れない様に見ているって考えたら体勢も想像つきますし…。 朔君と梭樛君は好奇心旺盛なのと興味本位でしょう?理事長に追い出されたのは四人で、私だけが残されたから気になった…だから一番分かりやすかったよ?」 朔と梭樛は踏まれたところを擦りながら、当たってると言う顔をした。 風月と恍輝においては拍手をしていた。 『てめぇーら…聞き耳立てんなって忠告したよな…?』 理事長がワナワナと震えながら、ゆっくり近寄る。 すると琴音が「待って下さい!」と止めた。 『なんだ…?あたしは気が短いからな…手短に簡潔に言え』 理事長の言葉に臆する事無く、琴音は言う。 「理事長…彼らは悪くありません!元々、私が悪いんです…何校もの学校で居場所を無くし変わったんですから。怒らないであげて下さい」 その言葉に一番驚いたのは恵士だ。 『てめぇーがそんな事言うとはな…まぁ暫(しばら)くは大丈夫そうだ、俺は帰るぞ…棗も、怒らねぇーでやってくれ。あとは頼んだからな。』 そう言って恵士は帰っていくと、理事長は深いため息をついた。
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