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『今日のところは…何とか堪えてやるが、琴音ちゃんと親父さんに感謝しな。』 理事長がそう言うと、琴音は笑顔で「ありがとうございます」と言って、朔と梭樛は安堵していた。 『つか、ホントに…琴音ちゃん、気になる人いんの…?』 『極道の娘には見えませんね』 『僕よりチビの癖に…柊組の娘とか有り得ねぇ』 『…凄いな』 朔、風月、梭樛、恍輝の順で感想を言うと、琴音は引っ掛かる部分の言葉に顔を引きつらせながら、何とか笑顔を作ると言った。 「はい、気になる方は居ます…そして、柊組の娘です。さっき帰っていったのが私の父です。あと、チビは余計です、こんな格好をしてる理由は極道の娘って事を隠すためです。…バレましたけど。」 四人の言葉に律義に返答を返し、理事長は頷いていた。 『まぁ、話す事はまだあるだろうが、琴音ちゃん…姫にはまだ言う事があるんだ。』 理事長の言葉に四人が反応し、琴音の両側に二人ずつ並んだ。 梭樛、朔、琴音、恍輝、風月という並びで、理事長の次の言葉を待つ。 『今日から、琴音ちゃんが慣れるまで四人の内誰か一人と行動を共にしてもらう。その方が道に迷わんですむだろう。そして、男子生徒には姫と呼ばれる事になる…【琴音】と呼ぶのを許可するのは琴音ちゃんの自由だが、この学園で名前を呼ぶ事を簡単に許すなよ?襲われるからな、四人にも言っとくが名前はなるべく呼ぶな?呼んでも良いのは周りに誰も居ない時だけにしろ。気になる奴が居るって言ったな…そいつには名前で呼ばせてやれ。そしてだ、今度イベントがあるんだ。姫を披露する祭がな、そこでまず琴音ちゃんを披露して『この方が卒業するまでの姫です』と紹介されるから一言言うと良い。 その祭の時には四人の内二人にエスコートしてもらう。誰にするかは自分で決めるが良い。…まぁ今日は疲れただろうから休めば良い。部屋はさっき親父さんが居た場所を使え。今日だけは許してやる。また部屋については話すから安心しろ』 長い説明を一気にした理事長は、四人に『また明日10時に来い』と指示を出して追い出し、琴音に『部屋の中のは好きに使え。困ったらあたしに言え。』と言い、部屋に押し込んだ。
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