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「んー…部屋を勝手に使えと放り込ま…押し込まれたけれど、何すれば良いんだろう」
琴音はドアの前で独り言を言うと、まずは部屋を見渡し目を見開いた。
「う…そ?まさか…こんなだだっ広い部屋を、一人きりで?」
ドアの方を向いて居た為、気付くのが些か遅れたが、琴音は部屋をゆっくり歩いて恐縮しながら見て回った。
部屋の中は、地面は紅い絨毯を敷いてあり、黒い蝶の刺繍が施されている。
そして、中央にはテーブルと椅子が置かれていてテーブルクロスも絨毯と同じ様に黒い蝶の刺繍が施されている。
理事長の部屋だと琴音は考えたが、ほとんどが赤と黒の物ばかりだ。
「…理事長は、赤と黒が…とても好きなのね…」
琴音は呟くと、理事長の格好を思い浮かべた。
黒いスーツで胸元に紅い蝶が施されていたなと思い出したのだ。
「赤と黒と蝶が好きなのね…」
琴音は改めて考えなおし見て回った。
何故かお風呂もついていたので覗いてみると、使う道具全てに蝶が施されていたのだ。
琴音(これは、ある意味凄いかも)
言葉には出さず、心の中だけに止めておく。
そして、トイレも覗くとやはり黒い蝶の模様がはいった赤いスリッパがあった。
琴音は寝室などあるのだろうかと探し、一つの扉を開けると黒いベッドに赤いの蝶の模様が(以下略)。
どこもかしこも赤や黒や蝶が散らばっていた。
「何処を見ても蝶が…赤や黒、ホント理事長って…」
琴音にとっては理事長の人間性を疑った一日になった。
―余談
「この…ベッドで寝るの…ちょっと、いや…かなり怖いんだけど…なんでかな」
琴音はベッドに入ったは良いが、暗い中だと月明りで一際目立つ蝶の模様に怯えていたた為、なかなか寝付けなかったとか。
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