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「本当に申し訳ありませんでした…。」
理事長の言葉に改めて深々と頭を下げる琴音。
琴音を迎えに来た恍輝と風月は驚きを隠せないでいた。
(まさか…“あの”理事長を怖がらせるなんて…。)
(アイツ…理事長を怖がらせるなんてよくやるな…。)
二人は言葉にしないものの、心の中では同じことを考えていた。
『まぁ構わんさ、反省しているようだしね。』
理事長は、琴音の謝りに免じて『次からはなるべく素直に起きてくれると嬉しいが』と付け加えて許すことにした。
その付け加えられた部分に不安を感じながらも「頑張ってみます…」と残し、部屋を去ろうとした。
『姫…どこに行くんですか、私たちが来ている事を不思議にお思わないのですか?』
立ち去ろうとする琴音に風月が声を掛ける。
恍輝は腕を組んだままボケーっと風月の隣に立っていた。
「え?別に不思議には思いませんけど…?」
そう返す琴音に、風月も恍輝も少し呆れると理事長が『戻っといで』と言った。
琴音はその言葉に従い、理事長の札が置かれている机の前に立った。
『水無月兄と如月に来てもらったのは、姫を教室に連れて行くまでの護衛として、だ。』
「えっ!?護衛なんてそんな…」
理事長の言葉に目を見開き、驚きを声をあげる。
『迷惑かもしれませんが、“姫”には付き従うべき人が必ず2人必要になるんです。本来なら4人になるのですが、歩きづらいだろうと考慮し、朔や梭樛と話し合ったんですよ。…姫に悪い虫を付ける訳にはいきませんしね。』
風月が丁寧に説明をする、最後の方は聞き取りづらかったが、気にしないでおこうと考え、琴音は説明してくれた事に「ありがとうございます。」と礼を言う。
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