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『アンタらさ…うっさいんだけど?』
後ろから発せられた低く怒気をはらんだ声に、前に居る彼女らは固まってしまって。
もちろん、私だって一応女だからビックリもするし…"怖い"って思ったりもするわ。
だから、内心私もビクビクしてるの。
けれど、その震えそうに怖い状況でも大丈夫なのは…後ろから恍輝くんが抱き締めてくれてて、こんな状況なのに風月さんは手を繋いだままで居るから。
「……。」
ここまでしてもらって台無しに出来ないからと、必死で琴音は我慢をしていた。
『おや、“姫”?どうなさいましたか?』
そして、風月はここぞとばかりに奥の手を使う。
『えっ!?…姫なの!?ヤバッ…。…ごめんなさい!!』
琴音に突っ掛かってきた彼女たちは、“姫”という言葉に反応して即座に謝った。
「えっ、あっ、あの別に気にしてませんので。」
琴音の言葉に、彼女らは座り込んでしまった。
恍輝は、もう大丈夫だろうと琴音を解放した。
琴音はビクッと反応したものの、解放されて安堵する。
『アンタらさ、人見下してばっかだと、自分にかえってくんぞ?』
恍輝は捨て台詞を残して、風月と琴音を置いてスタスタ進んで行った。
風月は『やれやれ』と心の中で嘆息しつつ、琴音を連れて恍輝の後を追ったのだった。
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