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「…デカいのも考えモンねぇ…じゃなかった…ヤバいなぁ…いつもの口調じゃダメなんだっけ…」 琴音は普段からなるべく口調には気を付けて居るのだが、親を見て素直に育ったせいか親の口調と同じになってしまうのだ。 「んー…理事長室どこかなぁ…っ!!」 ―ボフッ 「すいません、前を見てないせいで…」 理事長室を探す為にキョロキョロしてたせいで、人にぶつかり自分の非を認め素直に謝ると。 『……君可愛いね、惚れたよ』 「…え?なんで?」 澄んだ声で何を言われるかと思えば、意味のわからない事で。 少しの沈黙があったので怒っているのかと思ったのに拍子抜けだ。 『…なんで変装っぽい事してるのですか~?』 「…っ!?」 変装には自信があった(らしい)琴音は一発で見破られ、目の前に居る人間がただ者ではない事がわかり、警戒体勢に入ると。 『…そこ邪魔』 背後から声を掛けられ、ビクッと肩を震わせながら振り向くと、怠そうにでも不機嫌なオーラを纏いながら立っている人物がいた。 琴音(…背後に立たれたのに気付かなかった) 「すいません、どうぞ…」 頭の中では別の事を考えながら、道を開けると。 『お前の変装が朔(サク)に分かったのはな、髪型が不自然だから。あと眼鏡が微妙。』 背後に居た人物はすれ違い様に変装がバレた事を教えてくれた。 最初に意味不明な事を言ってきた人物は朔(サク)と言うらしい。 「髪型が不自然…?まぁ不自然なのは置いといて、眼鏡が微妙なのは余計です」 琴音は髪型が不自然と言われてムッとしたが、眼鏡の事を言われたのでそちらを反論した。 『あ~珍しい…恍輝(コウキ)が説明してる…』 朔は物珍しげな表情で不機嫌オーラを纏う恍輝に言う。 『…そこの女、迷ってたんじゃないのか?』 恍輝は朔の事をスルーし、琴音に問うた。 「あっ、はい…理事長室がわからなくて…でも良く迷ってるってわかりましたね」 『…そりゃ、俺や朔を見て騒がねぇ女は居ねぇからな…見た所お前は編入してきたんだろう?』
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