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「『合図』ということですよ」
隼人が小声で千に教えた。
どうやら隼人にも聞こえていたらしい。
「じゃあ俺らは何かの合図ってこと?」
「ん~、まあだいたいは合ってるな」
綾さんはそのまま続けて、
「君たちは、我がノンサウンドが本格的に活動をするという合図になってもらう。ウチはまだ〈NOVA〉だけで、音楽会社としても事務所としてもペーペーだからな。そこで、SIGNALという新ユニットをだすことで、ウチの本格的な活動開始をアピールするんだ」
遠回しに、俺たちに必ず売れろというのがひしひしと伝わってきた。
「でも、それって俺らが売れなきゃ意味ないん…「ん?」…ごめんなさいすいません何でもありません!!」
…今の綾さんの言葉をわかってなかった千からしたら当然の疑問を、綾さんは、千が最後まで言う前に例えようのない威圧感で黙らせた。
というより謝らせた。
平謝りする千が哀れだ。
「なあ昶、俺何か悪いことした?」
「KYなことだな」
「KY!?俺KYなの!?」
自覚ないのか…
「なあ、KYってどうやったら治るんだよ!」
「治せない。だから諦めろ」
「治せねえの!?んじゃ俺一生このまま?」
「そうだ。それとあまり近づかないでくれ。KYがうつる」
「あ、そうなの?悪い悪い…って、KYはうつんねえよ!!」
チッ、バカでもさすがに知ってやがったか。
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