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「くそっ、またか」
五度目のエンストに苛つき、男は声を荒げた。
「だからマニュアル車は嫌いなんだ。クラッチ?意味が分からん、ATを見習え。ATを」
そう言いながら男は運転席のドアを開けた。
助手席に置いてあった大きめの黒い角張ったケースを掴み、車の外へ投げ、シートに立て掛けて置いた刀を掴むと車から出てきた。
ドアを閉め、男は一番最初に目に入ったタイヤにショートキックを放つ。
それから刀を腰にさし、投げたケースを開けて中に入っている大きめの銃を取り出す。
右手に真っ黒な何の装飾もなければ名称すらもない銃を、左手には武器ケースを持ち、車に背を向けて歩き出した。
車から50m程離れた所で立ち止まると、男は振り向き様に三発続けて発砲する。
「ガンッ×3」
銃声が響いた直後、車のエンジン部分が爆発し、火を噴きながら全車体を吹き飛ばした。
飛び散る破片や転がるホイルを無視して、男は再び車に背を向けて歩き出した。
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