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暫くすると、咲から返信がきた。
『ありがと。シゲルは抜きでお願い。2人だけでね。』
お…
おい おい おい!
これはひょっとして、脈ありなんじゃないのか!?
『わかった。』
再び短文を返信する。その直後、俺の顔は先程よりも緩むことになった。
「だから、緩んでるって。」
「だー!お前には関係ないだろ!?」
「…恋か。」
「へっ?」
思わぬシゲルの一言に、ドキッと俺の心臓が反応した。
な…いきなり何言ってんだよ!ビックリさせんなっての!…平常心。平常心…。
「…そうだけど?ま、好きな女もいないお前には恋なんて全く縁のない話しだけどな!」
「いるよ。」
「─は!?」
ちょっと待て!シゲルに好きな女がいるなんて初耳だぞ!!…そりゃ、俺だってシゲルに『咲が好きだ』とは言ってないけどさ…。
俺は動揺を抑えながら、口を開いた。
「へ、へぇ~…お前が惚れた女かぁ~。誰だよ?俺の知ってる奴?すんげぇ気になる!」
俺は興味津々にシゲルを問いただした。
この行為が、俺自身の首を絞める事になろうとは、知りもせずに─…。
「…藍澤、藍澤 咲。」
俺は耳を疑った。
こんな事があるのか。
あっていいのか。
"藍澤 咲"
それは俺が、一番聞きたくなかった女(ヒト)の名前だった。
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