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伸嘉が目覚めたのにも気付かずに。
「な、何すんだよ。気持ち悪い。」
伸嘉の平手打ちが見事にトオルの頬にヒットした。
(あちゃー!守るはずの俺が手を出してどうするんだ。)
「いや。何と無く?」
またも伸嘉の手がトオル目がけて振り下ろされた。
しかし、トオルはそれを止め、伸嘉を引き寄せる。
「感じたくせに。」
「誰が。」
トオルは、伸嘉を自分の前に座らせ、後ろから抱き締める。
「は、離せ。」
「ごめん。何もしないから、少しこのままでいてくれ。」
トオルはそのまま目を閉じる。
「トオル?」
「何もしない。ただこのまま傍にいてくれ。」
トオルは、自分の眠りが浅い事や、母親の事などを伸嘉に話した。
この部屋で初めて寝た夜に聞いた夢の中の声も。
一人で話して、そのまま眠りに付いてしまった。
伸嘉は、トオルの寝息を確認すると、自分のベッドに入った。
「感じた?僕が?」
と、思いながら眠りに付く。
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