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蒼井とトオルが出会ってから数ヵ月後。
三上家に来客者が来ていた。
トオルは、学校が終わって、駅前に行く為に、着替えに帰宅した。
玄関に見覚えのない革靴と、ナイキの白いスニーカーがあった。
二階に上がろうとするトオルを養父が呼び止める。
「トオル。ちょっと、ここに来なさい。」
(俺、何かしたっけ?)
トオルの知らない所で、誰かに迷惑かけて、親が怒鳴り込んで来たと思わせる雰囲気。
居間にいたのは、蒼井だった。
隣には、これまた同じ顔の人がいる。
年の頃は養父と同じくらいだから、たぶん蒼井の親だろう。
「初めまして。トオル君。先日は息子を助けてくれたそうで、ありがとう。」
父親の方が、挨拶がてら名刺を手渡す。
¨私立青龍学園 理事長 蒼井伸之¨
(蒼井って名字だったのか。)
「こっちは、息子の伸嘉(しんか)だ。」
(しんか?変な名前。)
「どうして家が分かったのです?」
あの時は、名前しか教えていない。
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