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トオルが見ている前で、迷いもなく、書類にサインをした。
トオルは、書類の内容が気になって、覗き込んだ。
養子縁組の承諾書。
誓約書。
「これは、法的に有効な書類です。もしこの先今日みたいな事があれば、法的手段にでます。」
(養父は何を言ってるんだ?)
母親は、封筒の中身を確認すると、トオルの顔を見もせずに帰ってしまった。
封筒の中身は、金だった。
「何で金なんか。」
「あの女は五百万でお前を売ったんだ。」
養父の話を黙って聞く。
何があっても傷付かない約束だから。
何故、今頃になって現れたのか、その訳が知りたかったから。
「先日、家に電話があった。お前を引き取りたいとな。今さら何をと言ったら、金を要求されたよ。おかしいと思って調べてもらった。旦那が事業に失敗したらしい。」
全身ブランド女が、金がなくて生きて行ける訳がない。
「あの女はあの金を借金に回す気はないだろうがな。ま、五百万で、お前が息子になるなら安いもんだ。」
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