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不良だった少年を更正させた刑事。
下道でしかなかった少年を心から心配する。
(そんな人いるんだ。)
少なくとも、トオルの周りにはいなかった。
腫れ物にでも触れるかのような大人だけ。
誰もが、哀れみの目や同情の目でしか見ない。
「一度その里親信じてみな。裏切られ、施設に戻されてもいいじゃないか。その時は俺が面倒見てやる。その頃には自由の身になって警官やってると思うから。」
そう言ってトオルの頭を撫でる。
「警官になるの?」
「おぉ!俺を信じてくれた刑事さんみたいになりたいからな。」
人生変えられるほどの人物に、トオルは会えるのだろうか。
「さぁ。帰って謝って来い。で里親の胸に飛び込んみろ。」
慎吾に促され、深くお辞儀をして走りだした。
(そうだ。僕はまだ一度しか裏切られていない。何度でもやり直せる。)
トオルが施設に戻ると、まだ三上夫妻が待っていてくれた。
「よかった。無事だったか。」
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