257人が本棚に入れています
本棚に追加
※
あれから三年。
トオルは中学三年になっていた。
今は、三上の姓を名乗っている。
親にしてもらえなかった事を、たくさんしてくれた。
本当の親子のように暮らしている半面、慎吾とも会っていた。
何度も駅に足を運ぶうちに、手伝うようになり、昨年、慎吾の後がまになった。
今いるメンバーの中では、一番の古株になったトオルは、みんなに慕われている。
三年前におもいっきり泣いて安心したのか、すくすく育ち、とても中学生には見えない。
年上でも敬語を使うぐらいだ。
ある日、誰かが、大きな声を出して走ってきた。
「トオルさん。向こうで、喝挙げしてる連中がいます。」
そいつに促され、駅前の路地裏に行くと、三人の男が、一人の少年を囲んでいた。
見るからにお坊ちゃんという感じの少年は、少しおびえたように肩を震わせている。
「何をしているんだ。こんなところで。」
トオルは、両手の指をバキバキならしながら近づく。
「やべぇ。トオルさんだ。」
トオルの顔を見るなり、三人同時に、逃げ出した。
最初のコメントを投稿しよう!