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(俺の事、さん付け?メンバーか?)
「大丈夫か?」
トオルより20センチぐらい小さい少年は、しっかり締めた襟元に中Ⅲのバッヂが付いている。
(タメ?見えねー。)
と、呟いてみたものの、少年の方が、日本人の平均身長だろう。
中三で180近いトオルの方が、年齢不詳だ。
トオルは、少年が握り締めていた紙を取り上げる。
「これ。こっちじゃねーじゃん。 こっちは南口。この地図北口だ。」
少年は少し驚いた顔で、トオルを見上げる。
「こんな所一人で歩くな。北口より治安が悪い。」
「迷子になってたら、あの人達が連れて行ってくれるって。」
「知らない奴に着いて行く奴がいるか。次今日みたいになったら、俺の名前だせ。今みたいに逃げ出すだろ。」
この駅前でたむろする奴で、トオルを知らない奴はいない。
別に喧嘩が強いわけではない。
この容姿のせいかも知れないが、一目置かれている。
「トオルさん?」
「そうだ。で、お前の名前は?知らねーと助けられないだろ。」
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