クラウディ―追―

席替え

　新しいクラスにも慣れはじめた、6月。
　制服も夏服に替わり、厄介な中間テストが終わった事もあり、昨日席替えが行われた。
　湿気が多いこの季節は好きじゃないけど、今日はすっきりと空も晴れ渡っている。眠気が残る体から、自然とあくびが出た。
「寝不足かぁ？ リョウ｣
高校に入って初めてできた友達――カズに突っ込まれる。
「……だってあのゲームおもしれぇだもん」
　テスト期間中、封印していたゲーム。できなかった反動が大きかったのか、昨日……というより、今日までやり込んでしまった。よって、今日の授業は睡眠時間に決定。
　カズはテキトーに相槌(あいづち)をうって、自分の席でもない、オレの前の席にドカッと座った。
「ってか、いーよな、この席｣
　カズが羨ましそうに言う。てか、昨日も言われた気がするな、このセリフ。「オレと交換しなっ」とも言われたが、完全拒否。カズの席は教室の真ん中の列の一番前。嫌でも先生と目が合う、最悪な席。一方オレの席は、窓際から2列目の一番後ろ。先生が一番警戒する席でもあるけど、一番前よりかはきっとマシだろう。悪いけど、譲らねぇよ。