耕平君の長い一日 『夜のプール』

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「もうっ! いい加減にしなよっ!!」 お姉ちゃんが割って入る。 ミニスカートを履いた綺麗な女の人……。 長い黒髪とお餅みたいな真っ白な肌。 とっても綺麗な人……。 一瞬、お腹の辺りが“キュン”ってなった。 「あんたたち、早く店に入りな!」 お姉ちゃんの、香水と煙草の匂いが混じった、大人の香りが鼻をくすぐった。 僕もピーも、助かったとホッとして、お姉ちゃんの云うことに素直に従った。 健ちゃんも眼を逸らさないまま離れようとする。 「待てっ! 健太!」 「直樹っ!!」 「でもよぅ…、雪菜……?」 お姉ちゃんが怖いお兄ちゃんを睨み付ける。 「分かったよ……。健太! 次遇ったときは覚えとけよ! 必ずぶっ殺してやる!!」 「おぉっ、いつでも相手してやるよ!!」 見てるこっちがドキドキする遣り取りが終わると、健ちゃんは僕たちと一緒に店へ入った。
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