耕平君の長い一日 『不自然な朝』

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(1)  開けっ放しの窓から聞こえる賑やかな声で目が覚めた僕は、目覚まし時計の針を見て、ベッドから転げ落っこちそうになった。 針は無情にも7時30分を指している。 やっべー、寝坊だ! 騒ぎ声の主は、通学途中の同じ小学生。 今日は終業式。 いくらなんでも、こんな日に遅刻って……。 慌てて飛び起きると、寝る前に脱ぎちらかしたままのTシャツとジーンズに着替え、階段を駆け降りた。 廊下を抜けた先にある、窓から燦々と朝日の注ぎ込むリビングダイニングにママはいなく、間続きの和室で産まれたばかりの弟、淳也が大粒の涙を流して泣いていた。 時間は無いけど、ほっとく訳にもいかないから、優しく抱きかかえてあやしてあげた。
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