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ミエナイイト
すべての命ある物は、種族を維持するために生まれてきたといっても過言ではないだろう。
勿論、人間も例外ではない。
健康な成人が突然、絶望的な死に直面すると、生殖機能が活発になり、男は見境無く女の中に己を遺そうとし、女は感情を無関係にそれを迎え入れ、授精しやすい身体に変化する。
これは、危機的状況下でも、種族を絶滅させないための本能だという。
誰に教えられたわけでもないのに、赤子が可愛らしい笑顔や、愛くるしい仕草をするのも、非力な我が身を守るための自己防衛本能がそうさせているのだ。
愛する心、愛でる心、愛しいと想う心……。
すべては、本能の上だけで成り立っているのだ。
なら……、その眼に見えない、本能の糸が切れてしまえば、
どうなってしまうのだろうか……?
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