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瞬きを繰り返して必死に頭の中を見渡した。
でも、見当たらない。
何が起こってんのか、さっぱり分からなくて、カメの言ってることは尚更理解出来ないし。だいたいさ、この記事だってどうせでっち上げでしょ?
「KAT-TUNのNって、あの人だったの?」
「“中丸”だよ」
「“中丸…雄一”か……ね、そのさ、中丸雄一って………ッ」
「…頭、痛い?」
俺があの人の名前を連呼すると、次第に痛み始めた頭を不思議に思いながら片手で覆った。
そうすればカメは、やっぱり心配そうに膝の図鑑と雑誌を片付けてくれる。
「ごめん、まだ、早かったみたいだ。焦りすぎたな…。上田、ごめん。しばらく何も考えない方がいいよ。体、大丈夫になってから、ちゃんと考えよ。ね?」
「俺…あの人のこと、忘れ、て、る?」
俺の問い掛けには応えず、カメは俺を寝かせた。
カメが、泣きそうになってんのも気付かずに。
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