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聖の問い掛けに、カメも赤西も柔らかく笑った。
「あっちも大丈夫。命に別状ないって」
「そか」
カメの言葉に聖はホッとしたように小さく何度か頷いた。
「ただ…」
「なに?誰の………そうだ…!!上田!!上田は!?」
今まで忘れていたのが信じられない。
どうして忘れてたんだ。あんなに、あんなに大切だった竜っちゃんのこと!
俺は、ハッとなってすぐにベッドから飛び出した。
…でも、医者を連れて戻って来た田口に入口でぶつかって、見事にベッドへ逆戻り。
「ちょ!離せ!何で止めんだよ!上田ッ上田のトコ行かせろ!無事なんだろ!?なら会ってもいいじゃねぇかよ!」
頭の中は上田の事で埋め尽くされてるのに、慌てる医者や田口や赤西、カメに羽交い締めにされた。
「落ち着いて!上田くんなら大丈夫だから!今は!自分の心配しなよ!」
「中丸っ…ちょ、爪で引っかくなって!」
「痛ぇって!ハゲマルてめぇ!血圧上がるから止めろって!」
「赤西、空気読めよ!」
「ハゲてねぇ!ッくそ!なんで、止めん…だっ…よ…」
腕に僅かな痛みを感じたと思ったら、すぐに意識が遠退き始める。
そこで初めて鎮静剤を打たれたことに、気付いた。
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