始まりの序曲

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「転入生を紹介する!早瀬一葉君だ。」 「初めまして。早瀬一葉です。」    季節は秋に入っていた。  この日、県立山科高等学校に、一人の男が転入した。  早瀬一葉。  八月に十七歳になったばかりの高校二年生だ。  六月まで、一葉は隣の県にある県内でも有数のスポーツ専門学校として有名な私立桂川学園に在籍していた。  何故、彼が私立高校から公立高校に編入してきたのかは、ある事情があったからだ。  それは四ヶ月前の五月頃だった。  私立桂川学園は、スポーツ専門学校と称されているように、全国から多くのスポーツ学生を集めていた。  将来プロになる生徒を育成するのがモットーであり、その教育やカリキュラムは徹底している。  食事に関しては、専門の管理栄養士と調理師が個人のデータを基本に食事のバランスを考え、基礎となる肉体の生成を徹底的に管理をしていた。  もちろん、専門分野のスポーツの元選手をコーチや監督にして、各分野に専属する生徒たちの運度量やペースを逐一管理をしているのだ。  過去に多くの生徒が徹底した管理に根を上げたり、挫折したりしてる。  そういう生徒は大抵、他校に転校をすることが多く、酷い生徒の場合は病院に入院をしたり、選手生命を断たれたりした事もあった。
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