始まりの序曲

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始まりの序曲

 あの瞬間、何もかもが嫌になった。  何のために頑張っているのだろう。  何のために自分の体にムチを打っているのだろう。  全ては、サッカーが大好きだから頑張っていたのに。  それをくだらない理由で、自ら潰してしまった。  後悔はしていない。  でも、周囲に迷惑をかけてしまった。  折角必死に頑張っていたのを、自分のワガママで潰してしまった。  みんなは『気にするな。お前のせいじゃないよ。』と励ましてくれたが、納得がいかない。  先輩も、同輩も、後輩も、誰一人。 『お前が悪いんだ!』と責めてくれない。  どうしたらいい?  どうしたら自分を許せる?  どうしたらサッカーを好きな頃に戻れる?  必死にしがみ付いていたものが手の平から零れ落ちた瞬間―――――――。  生きる意味が判らなくなっていた。
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