HEART TO HEART

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さてと、 「先輩、ありがとうございました」 「いえ、どういたしまして」 先輩が軽く手を振る。 なんかかわいい。 もう気がつけば、夕方の六時だ。 「先輩は何時くらいに帰るんですか?」 「そうですね。そろそろ帰った方がいいかもです」 外は暗くはないが、明るいわけでもない。 「先輩はどこら辺に住んでるんですか?」 「私は──に住んでいます」 あ、俺と一緒の区域だ。 ──男だったらこの場合はやっぱり、こうするだろうか。 「先輩」 「はい?」 「一緒に帰りませんか?」 「……」 「いや、深い意味はなくてですね──ただ女の子の一人歩きはよくないかなって思っただけでして」 いかん、まずったか? 「──私が一緒でいいんですか?」 「はい。というかそれ俺のセリフですよ」 「ああっ、すみません」 「いや、別に……」 そこは謝るとこじゃないんじゃないかと思います、先輩。 「では行きましょうか」 「はいっ!」 俺たちは図書館をあとにした。
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