2667人が本棚に入れています
本棚に追加
さてと、
「先輩、ありがとうございました」
「いえ、どういたしまして」
先輩が軽く手を振る。
なんかかわいい。
もう気がつけば、夕方の六時だ。
「先輩は何時くらいに帰るんですか?」
「そうですね。そろそろ帰った方がいいかもです」
外は暗くはないが、明るいわけでもない。
「先輩はどこら辺に住んでるんですか?」
「私は──に住んでいます」
あ、俺と一緒の区域だ。
──男だったらこの場合はやっぱり、こうするだろうか。
「先輩」
「はい?」
「一緒に帰りませんか?」
「……」
「いや、深い意味はなくてですね──ただ女の子の一人歩きはよくないかなって思っただけでして」
いかん、まずったか?
「──私が一緒でいいんですか?」
「はい。というかそれ俺のセリフですよ」
「ああっ、すみません」
「いや、別に……」
そこは謝るとこじゃないんじゃないかと思います、先輩。
「では行きましょうか」
「はいっ!」
俺たちは図書館をあとにした。
最初のコメントを投稿しよう!