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俺の通学路は商店街を通って坂を登ったところにある。
商店街もちらほらと活気づいてきて、店を開く人たちが出てきた。
俺はそんな人たちに挨拶をし、商店街の人に見送られながら登校する。
この商店街の人たちとは家族が死ぬ前からの付き合いだったので、なにかと一人の俺をみんな心配してくれる。
そこら辺はちょっと恐縮だ。
まぁみんな心配してくれてるわけでして。
うれしい気もする。
商店街のみんなは俺に差し入れだとか、買い物でサービスをしてくれている。
いつも世話を焼いてくれているので、謝罪じみたことを言ったことがあるのだが──
そしたらみんなに笑われてしまった。
子供なんだからそんなの気にするな、と軽くながされてしまったのだ。
子供扱いされてることは複雑な気分だったが、それは心のどっかに置いといて歩みをはやめた。
「──きゃあッ!」
妙に疳高い声が響き、振り向くと学生鞄を持った男がこっちに向かって走ってくる。
同時に視界に入ったのは地面に尻をついている女の子。
どうやら……ひったくりのようだ。
人のものを盗むなんて、なんて極悪な……。
俺は、迷いなく男の前に立ちふさがる。
「──邪魔だッ!」
がつんとタックルされた後、思い切り裏拳を喰らってふらつく。
軽くよろめいてから、
「……くそっ」
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