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惨事は、彼女が厭きたら起こる超常現象。
惨事は、彼女が何かを手に入れるための暴戻。
惨事は、。彼女が、
―――餌が、何をしたくて“あんなことを”したのかは――――――
僕にも、まだ
“手に入らない”
“ちっぽけな”
“一つの”
“疑問”。
『欲しかったのは、』
「“ちっぽけな一つの心臓”・・・・・・か」
ぽつりとあの大きな何かの戦争で餌が呟いた言葉を口に出してみた。
「亜・・・?どったの?・・・で、惨事ってのは?な、な、俺スゲー気になるんですけどっ!!」
・・・隣に賭が居たのを忘れてた。
それくらい、鮮明な言霊だったのだろうな・・・。
「惨事は・・・」
・・・・・・。
「惨事は?」
・・・・・・興味津々に惨事の話に賭は食い付く。
――――が、僕は。
「教えない」
僕はきっぱりとそう言った。
・・・・・・。
「はう゛っ?!!!!」
・・・なんだ、その感動詞。
「気持ち悪いんだけど・・・」
「だって、餌っちゃんの“蠱毒”みたいな実験の結末が、惨事に至ったんだろ?なんか、酷い話だったけど、惨事がどうなったかというか、どんなのとか、オチ教えて貰えないとか、こりゃはゲームの攻略本には書かれていない結末を友達が知ってるのに教えてくれなかったカンジっ?!
ものすげぇ!ムカつくんですが!!」
「・・・じゃあ、それでいい」
僕は小さく笑ってそう言った。
「・・・・・・は?」
「お前のテンションが戻ったから、この話はもうしない・・・。
もう死にたいなんて言えないだろう?そんなの、もう言わせない」
「・・・・・・亜」
――――本当は、死にたいなんて、言わせないくらいの惨事の行く末を述べようとして、でも、僕はそれを咎めた。
―――――だって、惨事の現象は知っているけれど、分かるけれど。
明白に語れる喩えのあった筈の、
あの実験の“結末”の記憶が無い。
正に、語れない物語。きっと一番おいしい話。
でも。
「・・・うん、もう言わねーよ。死にたいなんて―――――俺、もう、言わない。
悪かった、ごめんなさい」
そう言って“くれた”この馬鹿に、もう話さなくても良い気がして、僕は笑えた気がした。
そして静かに世界の絶望を観た僕らは、
小さな貴い約束を友とを交わし―――――、
ついに僕らはようやく、
――――戦う準備を始めた。
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