楽園

ケンジもヒロミもアキラもヤスエも、もう学生ではないが、きっちりと定職に就いている社会人でもない。

アルバイトや短期労働で収入を得て、季節が変わるごとに海へ山へ、気ままに旅して移り住む、俗にヒッピーと呼ばれる若者たちである。

夏の盛り――今夜眠るお城は砂浜に張られた、波の音の聞こえる四人用のテント。