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「この辺で、寝れそうな場所はないか、」
「この辺で?そうだなぁ、最近ここらは治安が悪いから…。」
うーん、と顎をさすりながら、マスターは天井を見つめる。
「この辺は危ないだろうから、よければ此処の2階を使いな、泊まらせてやる。」
「え?いいのか?」
2階を使わせてくれる、だなんてそんなのいいのだろうか。
由岐哉がそう問えば、マスターはにこりと笑んだ。
「失礼なこと言ったお詫びに、好きなだけいていいぜ。」
「…ありがとう。あ、あのさ、あれだったら俺此処手伝いとかするけど、」
「本当か?じゃあ、手伝って欲しいときには前もってお願いするかな。」
にこりとマスターが笑むので、由岐哉もつられてふ、と笑った。
由岐哉が笑んだと同時に、一斉に由岐哉たちのほうに視線が向った。
何だ?と由岐哉が顔を傾げれば、マスターが苦笑いで答えてくれた。
「そんな可愛い顔をあんまり見せたら、此処じゃ犯されちゃうぜ、」
言いにくそうに、けれど直接的な言葉で言ったマスターの言葉にかなづちで殴られたような衝撃が襲った。
「…最悪」
「ああ、その顔で居れば平気だ。」
ぽんぽん、とマスターに頭を撫でられ、ううう、と由岐哉は呻いた。
「そういえば、おまえさんの名前をまだ聞いてなかったな。俺はアルト。マスターでもアルトでも好きに呼んでくれ、」
「ん、じゃあアルトさん、で。俺は由岐哉。由岐哉って呼んでくれて構わないから。」
「はは、わかった。由岐哉ね。」
またくしゃりとアルトに頭を撫でられ、由岐哉はむうっと頬を膨らませた。
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