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気付いた時にはもう遅い。翠の後ろには静かにゆっくりと殺意を帯びた凶器が伸びていた。
悠太「!?!んっ!」
必死に危険を伝えようとするが届かぬ声。
ドスッ
翠の右胸から伸びる赤く染まった鋭く伸びた根。
一瞬で翠を串刺しにした楓はゆっくりと悠太の位置まで持ち上げていく。
その様子を涙を流しながら見て、暴れ振りほどこうとする悠太。
しかし解ける事はなく、目の前に翠の顔が見える。
翠は必死に何かを告げようとするが肺が片方潰れているため声が出ない。口と傷口から夥しい量の血液が流れ出る。
そっと翠は血で濡れた手を悠太の手に当てた。
そしてそのままなぞるように落ちて行った。
動かなくなる翠。
何がなんだかわからなくなる悠太
次の瞬間何かが弾けた。
楓「どうですか?私のサプライズわ?これで本当の貴方と闘えそ…う……」
一瞬にして言葉が口ごもる楓
楓は悠太に向かって話しをしていたはずだった。しかし今悠太は捕縛されていた場所から50m離れた場所に翠と一緒にいて、翠を寝かせていた。
おかしい、楓の頭にもこの疑問が出るだろう。確かに悠太は木の根で縛り付けていた。それに見ていた。瞬きすらしてない。なのに悠太は翠を連れて気づかれない速度で脱出し、翠を助けて逃げた事になる。
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