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「え……なんで?」
俺の率直な言葉だった。
「いや、好きじゃないかもしれん」
いやいや、今週の頭までは好きって感じだったじゃないですか。
付き合った初めの頃は絶対に言ってくれなかった好きも、最近はたまにだけど言ってくれるようになったし。
「そんな突然変わるもんなの?」
これも率直な質問だった。
「うん……」
彼女はうつむきながら答えた。俺は宙を眺める。
「友達に告白されてん……」
彼女がボソッという。
トモダチニコクハクサレタ
なんだそれ。
「わかった。てか、そんな話を笑いながら来て、言いづらそうにして言うなよ」
いつものようなハニカミ笑顔だったから、少し腹が立った。
「ごめん……」
彼女はうつむいたまま言う。
「別れの話なんだったら、ちゃんと目を見て話せよ」
少し苛立ちを抑えられず、彼女に厳しい言葉をぶつけてしまった。ほどなくして、我に返る。
この苛立ちはなんだろう。
別れ話を笑って話してきたから?
別れ話をするつもりなくせに、いつもどおりに遅れるっていう連絡をしてきたから?
一緒に寝ようと思って用意した布団が無駄になったから?
彼女を奪われそうだから?
わからなかった。でも、怒ったらいけないなって思った。少し気持ちを落ち着かせる。
「うーん。とりあえず、なんか飲もうか」
俺は立ち上がってキッチンに向かった。
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